Red Hat Enterprise Linuxを使用すると、アベイラビリティの高いサーバークラスタ処理ソリューションを実現することができ、 重要なサービスをほぼ中断することなく、多くの一般的なハードウェアとソフトウェアの障害に 耐えることができます。このような重要なサービスは複数のコンピュータを一緒に機能させることで 提供されるので、システム管理者はシステムの保守およびアップグレードを、 サービスを中断することなく計画して実行することができます。
この章では、以下の段階を追って、Red Hat Enterprise LinuxのLinux Virtual Server (LVS)テクノロジーに基づくクラスタ処理ソリューションの理解と配備について説明します。
Red Hat Enterprise Linuxで負荷分散クラスタの実現に使われているLinux Virtual Serverテクノロジーについて説明します。
Red Hat Enterprise Linux LVSクラスタの設定方法について説明します。
LVSクラスタの設定と監視に使用するグラフィカルインターフェース、 Piranha 設定ツールについて説明します。
Red Hat Enterprise Linuxでは、アベイラビリティの高いサーバーソリューションを、クラスタ処理を使って実現しています。クラスタ処理には、3つの異なる部門で構成されている点が重要です。
演算型クラスタ処理(Beowulfなど)では、複数のマシンを使用して、計算を目的としたタスクについて、より大きな演算処理能力を実現します。この種のクラスタ処理については、Red Hat Enterprise Linuxでは対応していません。
ハイアベイラビリティ(HA、High-availabilityの略)クラスタ処理では、複数のマシンを使用して、サービスまたはサービスグループの信頼性に特別なレベルを付加します。
負荷分散型クラスタでは、ルーティング専門技術を使用して、 サーバーのプールにトラフィック配信します。
Red Hat Enterprise Linuxは、上記の2番目と3番目のクラスタ処理テクノロジーに対応しています。一式のプログラムを使って、クラスタ内のシステムとサービスの状態を診断します。
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Red Hat Enterprise Linuxのクラスタ処理テクノロジーは、フォールトトレランス と同義ではありません。フォールトトレラントシステムでは、高度に専門化された、 たいていは高価なハードウェアを使用して、完全に冗長な環境を構築することで、ハードウェア障害によって中断されることのないサービスを提供可能にします。 しかし、フォールトトレラントシステムでは、オペレータエラーとソフトウェアエラーに対処していません。Red Hat Enterprise Linuxでは、サービスの冗長性を使ってオペレータエラーとソフトウェアエラーに対応することができます。また、Red Hat Enterprise Linuxは標準的なハードウェア上で稼働するよう設計されているので、高レベルのシステムアベイラビリティを持った環境を、フォールトトレラントハードウェアの数分の一の費用で構築することができます。 |