1.2. メンバーのセットアップ

項1.1 の説明に従ってクラスタのハードウェアコンポーネントを決定したら、 基本的なクラスタシステムハードウェアをセットアップして、 メンバーをオプションのコンソールスイッチと、ネットワークスイッチやハブに接続します。 以下の手順に従ってください。

  1. すべてのメンバーに、必要なネットワークアダプタ、およびホストバスアダプタをインストールします。この手順の実行詳細については、項1.2.1を参照してください。

  2. オプションのコンソールスイッチをセットアップして、各メンバーに接続します。 この手順の実行詳細については、項1.2.2を 参照してください。

    コンソールスイッチを使用しない場合は、各メンバーをコンソールターミナルに接続します。

  3. オプションのネットワークスイッチまたはハブをセットアップし、 通常のネットワークケーブルを使用して、それをメンバーとターミナルサーバー(必要な場合)に接続します。 この手順の詳細については、項1.2.3を参照してください。

    ネットワークスイッチまたはハブを使用しない場合は、 通常のネットワークを使用して各メンバーとターミナルサーバー(使用する場合) をネットワークに接続します。

前述のタスクを実行したら、項1.3 の 説明に従ってRed Hat Enterprise Linuxをインストールします。

1.2.1. 基本的なクラスタハードウェアのインストール

アプリケーションが必要とするCPU処理電力とメモリはメンバーが供給します。

更には、メンバーには、ハードウェア構成で必要な、SCSIアダプタまたはFCアダプタ、 ネットワークインターフェース、シリアルポートを設置できる必要があります。 システムにあらかじめインストールされているシリアルポート、ネットワークポート、 およびPCI拡張スロットの数は決まっています。 表1-12は、 採用したメンバーシステムが必要とする能力を決定するのに役立つ情報を示します。

クラスタのハードウェアコンポーネントシリアルポートネットワークスロットPCIスロット
アダプタ共有ディスクストレージへのSCSIまたはファイバーチャネル  各バスアダプタに1つ
クライアントアクセスおよびEthernetハートビートping用のネットワーク接続  各ネットワーク接続に1つ 
2ノードクラスター用ポイントツーポイントEthernet接続(オプション) 各接続に1つ 
ターミナルサーバ接続(任意)1  

表 1-12. 基本的なクラスタハードウェアのインストール

ほとんどのシステムがシリアルポートを少なくとも1つ装備しています。 システムにグラフィック表示機能がある場合は、 シリアルコンソールポートを電源スイッチ接続に使用することができます。 シリアルポートの能力を拡張するには、マルチポートシリアルPCIカードを使用してください。マルチメンバークラスターには、ネットワーク 電源スイッッチを使用します。

また、ローカルシステムディスクが共有ディスクと同じSCSIバス上に存在しないようにしてください。 たとえば、Adaptec 39160シリーズのカードなどの2チャネルSCSIアダプタを使用して、 内蔵デバイスを1つのチャネルに配置し、共有ディスクをもう一方のチャネルに配置します。 複数のSCSIアダプタカードを使用することもできます。

インストールの詳細については、ベンダーが提供しているシステムのマニュアルを 参照してください。 クラスターでホストバスアダプタを使用する場合のハードウェア 固有の情報については、 付録Bを参照してください。

図1-2は、 サンプルのメンバーのバルクヘッドと一般的なクラスタ構成の外部ケーブル接続を示しています。

図 1-2. クラスタメンバーの一般的な外部ケーブル設置

1.2.2. コンソールスイッチのセットアップ

クラスタ環境にコンソールスイッチは必須ではありませんが、 使用することでメンバーの管理が容易になり、 各クラスタメンバー用の個別のモニタ、マウス、キーボードが不要になります。 コンソールスイッチにはいくつかのタイプがあります。

たとえば、ターミナルサーバでは、シリアルコンソールに接続して、 リモートの特定の場所から複数のメンバーを集中管理できます。 低価格な方法としては、複数のメンバーが1つのキーボード、モニタ、 マウスを共有できるようになるKVM(キーボード、ビデオ、マウス)スイッチを使用する方法があります。 KVMスイッチは、システム管理タスクでグラフィカルユーザーインターフェース(GUI) を使用する構成に適しています。

ベンダーが提供しているマニュアルに従ってコンソールスイッチをセットアップします。

コンソールスイッチのセットアップが完了したら、各クラスタメンバーに接続します。 使用するケーブルは、コンソールスイッチによって異なります。 たとえば、Cycladesターミナルサーバの場合は、 各メンバーのシリアルポートとターミナルサーバーを接続するのにRJ45<->DB9クロスオーバーケーブル を使用します。

1.2.3. ネットワークスイッチまたはハブのセットアップ

ネットワークスイッチまたはハブは、2ノードのクラスタ稼動には必要とされませんが、 使用することでクラスタとクライアントシステムのネットワーク化が容易になります。 3メンバー以上のクラスタにはスイッチかハブが必要です。

ベンダーのマニュアルに従ってネットワークスイッチまたはハブをセットアップします。

ネットワークスイッチまたはハブのセットアップが完了したら、 通常のネットワークケーブルを使用して各メンバーに接続します。 ターミナルサーバを使用している場合は、 ネットワークケーブルを使用してそれをネットワークスイッチやハブに接続できます。