状況によっては、LVS負荷分散アルゴリズムを使って利用可能なリソースが最も多いサーバーに要求する代わりに、クライアントが同じリアルサーバーに繰り返し再接続する方がよい場合があります。このような状況の例としては、マルチスクリーンのWebフォーム、クッキー(Cookie)、SSL、FTP接続があります。このような場合にコンテキストを取得するには、同一サーバーによってトランザクションが処理されないと、クライアントは正常に動作できません。LVSには、このような状況を処理するために、パーシステンスとファイアウォールマークという2つの異なる機能があります。
有効にした場合、パーシステンスはタイマーのように機能します。クライアントがサービスに接続すると、LVSは最後の接続を一定期間記憶します。記憶したのと同じクライアントIPアドレスが、記憶期間内に再接続した場合、前回接続したのと同じサーバーに、負荷分散機構を迂回して送られます。期間が切れた後に接続が行われた場合は、使用されているスケジュールルールに従って処理されます。
パーシステンスを使う場合でも、管理者は、クライアントIPアドレス検査に適用するサブネットマスクを、高レベルのパーシステンスを持つアドレスを制御するツールとして指定することにより、そのサブネットに対する接続をグループにまとめることができます。
宛先のポート別に接続をグループ化することは、複数のポートを通信に使うプロトコル(FTPなど)にとって重要です。ただし、パーシステンスは異なるポート宛の接続をグループにまとめる最も効果的な方法ではありません。そのような状況には、ファイアウォールマークがさいてきです。
ファイアウォールマークは、1つのプロトコルまたは関連するプロトコルのグループが使用するポートのグループをまとめる容易で効果的な方法です。たとえば、eコマースサイトを運営するためにLVSクラスタを配備している場合、 ファイアウォールマークを使ってポート番号80のHTTP接続と、 ポート番号443のセキュアHTTPS接続をバンドルすることができます。 各プロトコル用の仮想サーバーに同じファイアウォールマークを指定することにより、 接続をオープンした後の要求をすべて同じリアルサーバーに、LVSルータが転送するので、 トランザクションのステート情報を保存できます。
効率と使いやすさの点から、LVSクラスタの管理者は、接続のグループ化が可能な場合には必ず、パーシステンスの代わりにファイアウォールマークを使用する必要があります。ただし、その場合でも、管理者は仮想サーバーに対するパーシステムすをファイアウォールマークと一緒に追加して、適切な期間の間クライアントが同じサーバーに再接続されるようにする必要があります。