第 8章. Linux Virtual Server 入門

Red Hat Enterprise Linuxを使用すると、アベイラビリティの高いサーバークラスタ処理ソリューションを実現することができ、 重要なサービスをほぼ中断することなく、多くの一般的なハードウェアとソフトウェアの障害に 耐えることができます。このような重要なサービスは複数のコンピュータを一緒に機能させることで 提供されるので、システム管理者はシステムの保守およびアップグレードを、 サービスを中断することなく計画して実行することができます。

この章では、以下の段階を追って、Red Hat Enterprise LinuxのLinux Virtual Server (LVS)テクノロジーに基づくクラスタ処理ソリューションの理解と配備について説明します。

8.1. テクノロジーの概要

Red Hat Enterprise Linuxでは、アベイラビリティの高いサーバーソリューションを、クラスタ処理を使って実現しています。クラスタ処理には、3つの異なる部門で構成されている点が重要です。

Red Hat Enterprise Linuxは、上記の2番目と3番目のクラスタ処理テクノロジーに対応しています。一式のプログラムを使って、クラスタ内のシステムとサービスの状態を診断します。

注意注記
 

Red Hat Enterprise Linuxのクラスタ処理テクノロジーは、フォールトトレランス と同義ではありません。フォールトトレラントシステムでは、高度に専門化された、 たいていは高価なハードウェアを使用して、完全に冗長な環境を構築することで、ハードウェア障害によって中断されることのないサービスを提供可能にします。

しかし、フォールトトレラントシステムでは、オペレータエラーとソフトウェアエラーに対処していません。Red Hat Enterprise Linuxでは、サービスの冗長性を使ってオペレータエラーとソフトウェアエラーに対応することができます。また、Red Hat Enterprise Linuxは標準的なハードウェア上で稼働するよう設計されているので、高レベルのシステムアベイラビリティを持った環境を、フォールトトレラントハードウェアの数分の一の費用で構築することができます。