Apache HTTP サーバーは、Apache Software Foundation(http://www.apache.org/)で開発された強力な商用オープンソース Webサーバーです。Red Hat Enterprise Linux にはApache HTTP サーバー2.0が含まれており、 その機能を強化するために設計された多くのサーバーモジュールも含まれています。
Apache HTTP サーバーでインストールされるデフォルトの設定ファイルは、 ほとんどの状況に対して変更することなく機能します。 この章では、カスタム設定を必要とする方、旧Apache HTTP サーバー1.3形式から設定ファイルの変換を 必要とされる方の助けとなるよう、この設定ファイル (/etc/httpd/conf/httpd.conf) に含まれる多くのディレクティブの概略を説明します。
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グラフィカルなHTTP 設定ツール (redhat-config-httpd)を使用する場合は、 Apache HTTP サーバーの設定ファイルを手動編集しないでください。 このファイルが使用されるたびに、HTTP 設定ツール がファイルを再生成してしまいます。 HTTP 設定ツールの詳細については、Red Hat Enterprise Linux システム管理ガイドにあるApache HTTP サーバー の設定の章を参照してください。 |
Apache HTTP サーバー 2.0 とバージョン1.3(バージョン1.3 はRed Hat Linux 7.3及びそれ以前の製品に含まれていました) には重要な違いがあります。このセクションではApache HTTP サーバー 2.0のいくつかの機能について 検討しながら、重要な変更の概要を説明していきます。 バージョン1.3の設定ファイルを2.0形式に移項する方法については、 項10.2を参照してください。
Apache HTTP サーバー 2.0の登場で以下のような多くの新しい機能が追加されました。
新 Apache API — さらに強力になった 新しいアプリケーションプログラムインターフェース(API)のセットを使用するモジュールです。
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Apache HTTP サーバー 1.3 用に構築されたモジュールは新しいAPIにポートしないと機能しません。 特定のモジュールがポートされているかわからない場合は、 アップブレード行なう前に、開発者に問い合わせてください。 |
フィルタリング — モジュールはコンテントフィルターの役割は果たしません。 フィルタリングの動作については、項10.2.4 を参照してください。
IPv6 サポート — 次世代のIPアドレス形式がサポートされます。
簡略化されたディレクティブ — 混同しやすいディレクティブが削除され、他のディレクティブも簡略化さています。 特定ディレクティブの詳細については、項10.5 を参照してください。
他言語エラーレスポンス — SSI (Server Side Include)ドキュメントを使用する際、 カスタマイズが可能なエラーレスポンスのページを他言語で送信できます。
マルチプロトコルのサポート — マルチプロトコルがサポートされています。
変更に関する全詳細はオンラインの http://httpd.apache.org/docs-2.0/をご覧ください。
Red Hat Linux 8.0 で起動すると、Apache HTTP サーバー パッケージの名前が変更されています。 また、いくつかの関連パッケージも名前が変更されたり、古いため使われなくなったり、 他のパッケージに統合されたりしています。
以下はパッケージ変更の一覧です。
apache、apache-devel、apache-manualの各パッケージは、 それぞれhttpd、httpd-devel、 httpd-manualに名前が変更されました。
mod_davパッケージは、 httpdパッケージに統合されました。
mod_putパッケージとmod_roamingパッケージは、 その機能がmod_dav(これはhttpdパッケージに 統合されます)で提供されるサブセットとなるため削除されました。
mod_auth_anyパッケージとmod_bandwidth パッケージは削除されました。
mod_sslパッケージのバージョン番号は、 httpdパッケージと同期します。 つまり、Apache HTTP サーバー 2.0 のmod_sslパッケージは Apache HTTP サーバー 1.3 のmod_sslパッケージより 低いバージョン番号になります。
Apache HTTP サーバー 2.0 にアップグレードすると、 以下のようなファイルシステムのレイアウトへの変更が行なわれます。
新しい設定ディレクトリ/etc/httpd/conf.d/が追加されています。 — この新しいディレクトリは mod_ssl、mod_perl、phpなどの個別にパッケージされたモジュールの設定ファイルを 保存するために使用します。Apache HTTP サーバー設定ファイルの/etc/httpd/conf/httpd.conf内でディレクティブInclude conf.d/*.confは、サーバーにこの場所から設定ファイルをロードするよう指示します。
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既存の設定を移行するときに、新しい設定ディレクトリを指定することは極めて重要です。 |
abプログラムとlogresolve プログラムが移動しています。 — このユーティリティプログラムは、 /usr/sbin/ディレクトリから/usr/bin/ ディレクトリに移動しています。このため、これらのバイナリに対して絶対パスを使用した スクリプトは失敗する要因となります。
dbmmanageコマンドが置き換えられています。 — dbmmanageコマンドはhtdbm コマンドに置き換えられています。詳細については、項10.2.4.4を参照してください。
logrotate設定ファイルの名前が変更になっています。 — logrotate設定ファイルの名前は、 /etc/logrotate.d/apacheから /etc/logrotate.d/httpdに変更になっています。
次のセクションでは、Apache HTTP サーバー 1.3 の設定を新しい 2.0 形式に移行する方法の概要を 説明しています。